ベルカントとは?プロのオペラ歌手はベルカント唱法で歌っているの?私が受けたベルカントのレッスンの内容を書いてみました。

 
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こんにちは。ソプラノ歌手みやこです。

ベルカント唱法とは?

歌をやっている人なら一度は聞いたことがあるこのベルカント。
全てのイタリオペラのアリアは、ベルカントで歌われているのでしょうか?あなたの習った、または習っている発声法は、ベルカントなのでしょうか?

今日はその疑問に答えてゆきたいと思います。

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ベルカントの意味

ベルカント唱法とはイタリアで生まれた発声法です。

「ベルカント」の「ベル=Bel」はイタリア語で「美しい」、
「カント=
Canto」は「歌」。
つまり美しく歌うためのテクニックです。

ベルカントの歴史

ベルカントは16世紀イタリアの、教会音楽や宮廷音楽から始まり、
17世紀、18世紀、19世紀後半にかけて、
オペラへと発展していった歌唱法です。

実はこのベルカント、という言葉も非常に概念的な一般用語なので、
定義がとても難しいのですが、

この頃のベルカントの目指すところは、

・自然で美しい声
・どの声域も均一に歌える声質
・難しいパッセージも難なく歌いこなせる自由度の高い発声

でした。

モーツァルトをはじめ、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ辺りがその最盛期であると言われています。

実はこのベルカントという唱法、ここで一度衰退しています。

理由は、オペラの様式が変わってきて、
それまでのオペラの歌唱はより技巧を求められたのに対して、
19世紀後半にかけて
よりドラマチックな力強い表現が求められるようになり、
劇場も楽器も変化して、
声量アップも求められるようになったからです。

20世紀に入り、またベルカントオペラ、
前出のドニゼッティやベッリーニなど
が見直され盛んに上演されるようになりますが、
ベルカント唱法というのも定義がかなり揺らぎ、
現在ではイタリアで教えられている歌唱法をざっくりと
「ベルカント」と呼んでいる風潮があります。

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現代オペラの発声の問題点

あれ?と思われた方が多いかも??
そう。現在世界中のオペラ座でイタリアオペラを歌っている歌手が、
本来のベルカント唱法を使っているかというと、必ずしもそうではなく、
現代の発声法は少し声量に重きを置きすぎているところがあり、
大切な音楽性、表現力、演技力が失われつつあると
問題提起されているのです。

20世紀に入ってオペラの人気が落ちたのは、
発声のせいだという専門家までいます。

私も今、すごくそれを感じで自分の発声の見直しを行なっています。

おそらくマイクを使って演奏する別分野の歌手や音楽を意識しすぎて、
声量が大きい方が良い、
迫力がある方が観客が喜んでくれると錯覚したこと。
そして野外コンサートなど、
演奏の規模がどんどん大きくなったことが原因だと思うのですが、
少し今、オペラは生きる道を見失っているように見えるのです。

私が考える現代の発声法の欠陥は以下です。
・声が深くて重たいので、自由度がない。
・同じ理由でビブラートが不自然になりがち
・レガートとフレージングがなされていない
・言葉が不明瞭
・表現が一辺倒で演技にメリハリがない。

ベルカントのレッスン

私はイタリアの先生にレッスンを受けましたが、
まさに正統派のベルカントのレッスンだったと思っています。
そのノウハウを少しづつここに綴ってゆこうと思います。

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ベルカントの基本

私が教わったイリス・デラクア先生のレッスンは、
順序立ててきっちりでした。

まずは呼吸です。

腹筋の力でお腹の底から息を噴き上げます。
これは腹式呼吸をもちろん使いますが、
とても大切なのは、実際に口から出す呼気に「つなげる」こと。
まずは強く長い息を吐く(ロングトーン)
それからスタッカートで短い息を吐く。
その時も、腹部のどの筋肉を使うかで、息の機動力、強度が変わります。

私はこれを1ヶ月かけて学びました。
この1ヶ月は一切声を出すことが許されず、
精神的にきつかったことを覚えています。

実際の呼吸のやり方はこちらに書いています。

腹式呼吸のまとめ ベルカント唱法の呼吸法

呼吸に声を乗せてゆきます

でも、呼吸さえ出来てしまうと、あとは割とスムーズでした。
やはり歌の基本は呼吸なんだという良い例ですね。
呼吸に今度は声を乗せてゆく作業です。
スムーズとは言いつつも、それまでの発声の癖が邪魔をして、
呼吸に声が乗って走り出すまでには時間がかかります。
喉の力みがなかなか取れず、
特に高音が出るようになるのにはとても時間がかかりました。

母音を揃える

そしてもう一つ大変だったのは、母音を揃えること
5つの母音の位置を同じにしない限り、
美しいレガートのラインを歌うことは不可能だし、
統一感を持つ美しい粒のそろった歌声
(よくパールのネックレスに例えられます)
を使いこなすための最低条件だからです。

コツが掴めるようになってくると、いろいろなことがわかります。

まず歌うという作業は自然極まりなく、
喋るのと大きく変わらないということ。

苦しいと思う時は100%発声が間違えているということ。

そして発声と発音は完全にそれそれが
独立していなければいけないということ。

ビブラートはテクニックではなく、
正しい発声によって自然に作られるということ。

いかがですか?

正しい発声は正しい呼吸から!

声は正しいポジションで!

そして発音は声から独立!!

を目指して歌ってゆきましょう🎶

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最後まで読んでいただきありがとうございました!