モーツァルトのオペラ「魔笛」パミーナのアリア Ach, ich fühl’s「ああ私にはわかる。全ては消え」解説、歌詞訳あり

 
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こんにちは。ソプラノ歌手みやこです。

モーツアルトのオペラ「魔笛」のパミーナのアリア、
「ああ、私にはわかる、すべては消え」

魔笛と言えば、「夜の女王のアリア」の高音や、
ザラストロの低音など、
歌手の技術を試されるような曲が多いので有名ですが、
この曲もとても難しいです。

モーツアルトは基本的に明るく楽しい曲が多いですが、
時々覗かせる短調の曲の緊張感は本当にすばらしい。
モーツァルトという人の本質があらわになったような気がして
ドキッとします。
モーツァルトの特徴である「底抜けの明るさ」が、
実は本質を隠すためのカモフラージュなのでは
と思ってしまう事さえあります

そのモーツァルトの短調の曲の中でも
極上だと思っているこのパミーナのアリア。
音楽的に簡単なわけはないと当然理解しつつ臨んでいるけれど、
それ以前に、本当に技術的に難しい。
「一体どうやって歌ったら・・・?」
と考え込んでしまうフレーズがいくつも!

そういえばモーツァルトはこういったらしいです。
「技術的に難しいところこそ、得意げに演奏してもらいたい」

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モーツァルトのオペラ「魔笛」

モーツァルトは若い頃から多くの劇場音楽を作曲していますが、
その多くはイタリア語で書かれています。
当時の音楽の中心はイタリアで、オペラはイタリア発祥のものであり、
モーツァルトの生まれたオーストリアにおいても、
オペラはイタリア語と決まっているような風潮がありました。

その中でこの「魔笛」はドイツ語で書かれ、
形式も、ジングシュピールという、ドイツの音楽劇の形を採った、
少し他のモーツァルトの有名オペラ作品から見ると、異色を放つ名作です。
物語はおとぎ話ですが、
モーツァルトが当時会員であったとされる秘密結社、
フリーメーソンの教義とも密接な関係を持っています。

台本はモーツァルトの友人、シカネーダーによるもので、
劇場興行師で歌手で俳優でもあった彼が初演し、
その後モーツァルトの生前に100回を超える公演が行われた、
なお現在に続く人気作品です。

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パミーナのアリア

それまで色々あったけれど、王子タミーノとパミーナが恋に落ちて、
聖人ザラストロに試練を与えられる。
その最初の試練がタミーノに与えらえた、
「何があっても女性と口を聞いてはならない」
という沈黙の試練。
それがタミーノに与えられた試練だと知らないパミーナは、
タミーノとの恋が終わったのだと絶望(早とちり)し、
歌うのがこのアリア
「ああ、私にはわかる。全ては消え」
です。

ああ、私にはわかる、全ては消え(ドイツ語原詩)

Ach, ich fühl’s, es ist verschwunden,
Ewig hin der Liebe Glück!
Nimmer kommt ihr Wonnestunde
Meinem Herzen mehr zurück!
Sieh’, Tamino, diese Tränen,
Fließen, Trauter, dir allein!
Fühlst du nicht der Liebe Sehnen,
So wird Ruh’ im Tode sein!

和訳(みやこの)

あぁ、私にはわかるわ
愛の喜びは永遠に消え去ってしまった
もう二度とあの至福の時は戻らない
あなたはもう戻ってこない!
見て、タミーノ 私の涙を
愛するあなたのためだけに流すこの涙を
私の愛の切望を感じてもらえないのなら、
いっそ死んだ方がましだわ

ジングシュピールについて

ドイツの音楽劇の様式で、モーツァルトの時代に発達しました。
従来のオペラと違うのは、
レチタティーヴォの代わりに台詞が使われていることです。
本来オペラは、台詞部分はレチタティーヴォ、
感情を表現する部分はアリアによります。
モーツァルトは自分達の言葉であるドイツ語を元にしたオペラを作ること、貴族だけではなく一般に楽しめる作品を作ることに情熱がありました。
そういう意味では、ドイツ語のセリフを入れ、
感情表現をアリアにしたジングシュピールは、
モーツァルトの理想のオペラの形だったのかもしれません。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!